みんなで共創し、地域活性化を目指す。

みんなで共創し、地域活性化を目指す。
地域共創(大崎×五反田LINK独自記事)

記念すべき本サイト第1弾となる記事は、中丸親和町会長の土川史男さんと、コグラフ株式会社代表取締役社長の森善隆さんによる対談をお届けします。町会と企業それぞれの立場から、地域交流や情報発信の必要性について語っていただきました。

町会活動には若い人たちが必要


土川さん(以下、土川):私の町会エリアは、上大崎交差点を少し越えたところから山手線のガードに沿った道筋の辺りで、タイ大使館や第三日野小学校なんかがあります。この辺はもともと「中丸」という地名で、江戸時代には下屋敷とか増上寺ゆかりのお寺がありました。

若い方たちの多くは、町会が何をやっているのか、いまいちわからないと思うんですよ。基本的な役割としては防災活動、高齢者や子どもたちの見守り、町会の活動や行事への参加を促すなどがあります。今年は特に、若手に防災活動へ参加してもらってリーダーを養成したいと考えています。

――町会長に就任して10年が経ちました。今後の課題はありますか。

土川:私も含めて町会活動をされている方は、ほとんど高年齢なんです。どこの町会さんでも、「自分がいなくなったらどうするの」って思っている人は、けっこういらっしゃるんじゃないでしょうか。

何かあった時に助け合える地域コミュニティを作るために、毎年バス旅行をやっているんです。イチゴを収穫したりバスの中でゲーム大会をしたりと工夫したら、ご年配の方からファミリーまでご参加いただけました。

町会を存続するためにも若い人たちに参加してもらいたいんですよ。若者に興味を持ってもらうにはどうしたらいいか、森さんに聞きたいなと思っています。

町会イベントに地元企業を巻き込む


森さん(以下、森):例えばなんですが、地元の会社を巻き込んでいくというのは、いかがですか。

土川:そうですね、町会の行事に企業さんが入ってくれるかどうか。うちの町会には企業がないんですよ。

森:エリアの制限はありますよね。例えば枠を広げて五反田という地域で考えるなら、ベンチャー・スタートアップ企業が参加している「五反田バレー」というコミュニティがありまして、その中のメンバーが、自発的にボランティアで地域活動をするという動きが出てきているんです。

昨年は、五反田バレーと中延商店街さんがタッグを組んで、コロナ禍の中で、ITを使って商店街を盛り上げようという活動をしました。イベントはできなかったんですが、お店のPRなどを自費でやらせていただいたんです。その時は中延在住の社員がいなかったので、品川区という枠組みでご一緒させていただきました。

中延商店街

――町会でも若い人向けのイベントができると、それをきっかけに新しい広がりが生まれそうですね。

森:私は「五反田ウェルネスコミュニティ(編注/通称:ゴタウェル)」というのもやっておりまして、健康をテーマに五反田で働く人や住民の方をつないでいく場を作っています。

2年前の2019年には、日野学園のグラウンドを借りて「五反田大運動会」をやらせていただきました。浅井企画の若手芸人さんにもご参加いただいて、老若男女みんなが集まって楽しめるイベントになったと思います。

五反田大運動会

誰もが集まれるようなイベントをいろんな切り口でやらせていただいているので、中丸親和町会さんの中で場所を作れるのであれば、共催というかたちで協力できるかなと。あわよくば、そこで町会にも入っていただけたらいいですよね。例えば大使館さんとかお願いできますか。

土川:お願いすれば耳を傾けてくれると思いますよ。大使館も年に2、3回くらい商業的なイベントとかをやるんです。

森:それの一環として、海外の方とのコラボレーションという文脈で何かをやらせていただく。屋台を出して、その土地ゆかりのごはんを食べるとか、そういうのすごくいいと思います。

土川:そうです、そうです。公邸の中庭に屋台を出したり、大使館の役割を紹介したりすれば、子どもたちは楽しいだけでなく、非常に参考になると思うんですよね。

森:五反田バレーで関わらせていただければ、地元の方と企業が交流する場にもなるんじゃないかと思います。

地域をつないで新たな展開を生む


土川:私も企画案があるんですけど、第三日野小学校の校庭にテントを張ってフリーマーケットをできないものかなと。いま断捨離中なんですけど、けっこういろいろ出てくるんですよね。それで、周辺の企業さんにも何らかのかたちで入っていただけたらいいなと思いました。

収益の一部は小学校へお渡しして。そういう学校の使い方もあるのかなと思ったんですよね。タイやインドネシアの大使館にも協力してもらって、異国を知るいう意味でカレーか何かを出すとか。ただ、人が集まっちゃうから、何かしらの対策は必要だと思いますが。

中丸親和町会/土川史男会長

森:それと、イベントをやるとなると、やはりどこの団体でも実行部隊の力が足りないという状況になりがちです。

土川:それこそ町会の若い人に話しやすいっていう面はないですか。「こういうイベントをやるんですが協力できませんか」って。

森:ああ、いいかもしれないですね。イベントごとがあって、そこに賛同者を募るという。

縦のつながりから横のつながりへ


――企業側から見た地域に対する考え方を教えてください。

森:企業側の考え方は、近年で変わってきていると感じます。以前ですと、大企業が地域貢献という意味で寄付をしたり、スポンサーとして何かを提供したりというやり方で関係性を作ることが多かったと思うんです。五反田はベンチャー企業が多いですから、五反田バレーとかゴタウェルのような集合体で、お金ではなく何かしらの活動で地域の方とつながりたいと考えています。

それと、企業としての社会的責任を果たしていくCSR活動や、持続可能性を追求するためのツールであるSDGsに対する意識の高まりによって、地域貢献活動を自発的にやる人がふえてきました。その活動は結果的に、地域で企業活動を続けさせていただくということにもつながります。

企業内部の責任としては、従業員が働きやすくて住みやすいと感じる場所にオフィスを構えることも大切だと思っています。従業員がその地域を好きになれば定着率も上がりますし、会社側としても、とてもありがたいことなんです。

コグラフ株式会社/森善隆代表取締役社長

――そのエリアが好きだという気持ちがあると、町会のイベントにも協力しやすくなりますね。

森:そうですね。ゴタウェルでやっている地域のゴミ拾いも、自発的にやりたい人が集まってやっています。しかも、1社ではなく壁をこえてみんなでやるという流れができるといいなと思いますね。もちろん会社サイドだけではなく地域の方々とご一緒に。最近は、住民の方からのお願いを受けて活動するということもふえていて、企業側から見ると180度変わりつつあるという印象です。

時代に合わせて変化していく


――地域情報を発信する意義について、どうお考えですか。

森:地域と企業にある距離を縮めるために情報発信は必要だと思います。企業側は、地元の方に応援していただけるような情報を発信するとか、それ以外にも、お互いを知るために何かできることはないかと模索し続けることは必須ですよね。ある意味で、情報発信は、地域のみなさんに応援していただくための責任かなと考えています。

土川:先ほど話したフリマですとか、品川区の町会がこんなことをやっているんだっていうのを知ってもらうきっかけになれば、おもしろいんじゃないかな。SNSとかいろんなものが周りを囲んで、町会の活動を少しずつアピールしていければいいなって思っているんですけどね。

――情報発信とは別の話になりますが、土川会長は町会のデジタル化を提言されています。

土川:どうすれば若い人との連携が取れるかを考えているんですよ。町会の情報連絡をLINEでやりたいと思っています。そうすれば、やり取りが早くなりますよね。町会の防災用タブレットも活用したいですし。防災の連絡や町会の情報をいち早く伝えたり、区からの情報が直接入るようにしたりとデジタルツールを利用していきたいんですが、まだどうしたらいいのか模索中です。

環境が変化しているわけですから、町会も行政も変わっていかなきゃいけないと思っています。役員会や区との会議を定期的にやっていますが、同じことのくり返しになってしまっているんです。だから、参加するほうもなんとなく出席するという感じで変化がない。失敗してもいいから、何かをやっていかないとだめなんじゃないでしょうか。

大崎第一地区 町会・自治会長会議

昔とちがっていまの子どもたちは忙しいですけども、みんなが集まって遊ぶような機会を町会が作りたいんです。若い方にも入会していただいて、町会をさらに発展させていきたいと思っています。

<プロフィール>

■土川史男
情報通信系企業の会社員として勤務した後、2012年4月に中丸親和町会長に就任。町会・自治会への若手参画を促すため、IT化の推進による環境整備を提言。

■森善隆
国内独立系ソフトハウスにて、システム開発エンジニア、チームリーダー、製品企画、管理職などを経験。その後、大手インターネットサービス企業を経て、企業内コラボレーションソフトウェアを企画・開発するスタートアップ企業、リアルコムに参画。プロダクトマネージャーを務めた後、2010年9月にコグラフ株式会社を設立。同代表取締役に就任。

(若松 渚)

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