考える力を育み、子どもの世界を広げる「Savvy After School」

考える力を育み、子どもの世界を広げる「Savvy After School」
地域共創(大崎×五反田LINK独自記事)

2015年に東五反田に開校した「Savvy After School(サヴィアフタースクール)」。子どもたちに新しい学びの場を提供し、世界で活躍するためのスキルやマインドセットを育むことを目指しています。今回は、サヴィインターナショナル株式会社 代表取締役の守安法子(もりやすのりこ)さんに活動への思いを伺いました。

未来を自分で切り開く子どもを育てる「人づくりの場」

__Savvy After Schoolを設立したきっかけを教えてください。

守安さん:私自身の経験が、すべての原点になっています。総合商社で働きながら子育てをしていた頃は、「働き方改革」という言葉も存在しませんでした。ハードな仕事と育児の両立は決して楽ではありませんでしたが、会社の制度が充実していたことと、何より仕事が楽しくて好きだったからこそ、大変な時期も乗り越えられたのだと思います。
そのような中、習い事に関する課題に直面しました。子どもが英語とそろばんを習っていたのですが、高い月謝を払っているのにあまり身についていないと感じたのです。子どもにより良い教育を提供したいという思いはあったものの、当時はこの悩みの解決手段が見つかりませんでした。これからますます共働き家庭が増える中で、同じような課題を抱える親子は確実に増えていくはず。単なるビジネスではなく、理念と愛情に根ざした「人づくりの場」を作ろうと決意しました。

__英語力・計算力・国語力・体力を育むプログラムを提供されていますが、なぜこの4つに焦点を当てられたのでしょうか?

守安さん:この4つの力は、私自身のキャリアを支えてきた基盤です。健康な体があってこそ、どんな困難にも立ち向かうことができます。ビジネスの現場では、的確なコミュニケーション力が重要です。数字を理解し判断する力は意思決定の場面で何度も私を助けてくれました。そして、英語という武器です。振り返ってみると、それらはどれも幼少期に培った力でした。小学生から剣道を習い、本を読むのが大好きで、英語に興味があったため留学もしました。例えばプログラミングのような技術は後天的に身につけることができますが、英語力・計算力・国語力・体力は、幼少期から意識的に育んでいく必要があると考えました。私たちが目指すのは、どんな未来でも自分自身で切り拓いていける人材を育てること。子ども達には、揺るぎない意思を持ち、世界と堂々と渡り合える人材に育ってほしい。それを実現するための教育に力を入れています。

「Savvy After School」Facebookより


__Savvy After Schoolでは具体的にどのような教育を行っていますか?

守安さん:子どもたちは来校すると、その日の目標や取り組みたいことを自分で考え、「ミッションシート」を作成します。スケジュールの中には学校の宿題も含みます。宿題は5分で終わらせる、というルールを設けています。その日に学んだことは記憶が新しいため、短時間で終えられるからです。この習慣で、自然と思考のスピードも上がっていきます。
各教科では、楽しみながら実践的なスキルが身につく工夫をしています。英語は独自教材を使用し、英語力の指標の1つとして英検合格を目指します。計算力はiPadでそろばん学習を行い、国語は辞書や新聞に加え、実践的なコミュニケーション力も育てます。体力づくりでは、スクールの壁面に設置したボルダリングで遊びながら自然と体力がつく環境を整えています。

「Savvy After School」公式サイトより

他者の人生に触れることで、世界が広がる

__守安さんが教育において大切にしていることは何ですか?

守安さん:1つ目は「善悪の感覚」を育むことです。ここでは宿題を終えることで、お菓子を食べたり遊んだりすることができます。これは社会での「義務を果たして初めて権利が生まれる」という原則そのものです。義務を果たさずに権利を主張することはできないという感覚を、子どもの頃から身につけてほしいと考えています。2つ目は「思いやりのあるコミュニケーション」です。例えば間違いを指摘する時も、相手の背景を理解し、建設的な伝え方を心がければ良好な関係が築けるということを教えています。このような教育は手間がかかりますが、学校や家庭だけでは難しいのが現実です。だからこそ、私たちが担うべき役割だと考えています。

__2022年から、ウクライナ交流活動を行われていますよね。

守安さん:知人に「ウクライナからの避難民の方々が、言葉の壁で仕事に就けない」という話を聞いたことがきっかけでした。そこで英語の先生として迎え入れることにしたんです。英語のレッスンだけでなく、戦争体験の講演会も開いています。平穏な日常が一瞬で変わりうるという現実を、平和に慣れてしまった私たちは知る必要があると考えたからです。ウクライナ出身の先生から戦争体験について直接聞くことができたことや、お互いに英語と日本語を教え合いながら過ごす日々は、子ども達の世界を広げ、人生において非常に価値のあることだと考えています。

「Savvy After School」Facebookより


__活動する中で大変だったことはありますか?

守安さん:コロナ禍では、スクールを開き続けるべきか悩みました。しかし、1日も休むことなく運営を続けました。休校になった子どもの面倒を見ながら両親が在宅勤務をすることは想像以上に負担が大きいと考えたからです。徹底的な感染対策を行いながら、オンラインレッスンも併用する形で対応しました。この経験を通じて、働く保護者のサポートと子どもの教育という私たちの使命を、改めて強く実感することができました。

__やりがいを感じる瞬間について教えてください。

守安さん:一番は、保護者の方から「Savvy After Schoolがあって本当に良かった」と感謝の言葉をいただく瞬間です。「以前は習い事に行きたがらなかった子が、ここには楽しそうに通っている」といった声を直接いただくこともあります。これらの言葉をいただくたびに、Savvy After Schoolが、私自身が抱えていた悩みを解消する教育の場となっていると実感します。
また、ウクライナ出身の先生から「あなたと出会えたことが人生の救いです」と言われたことがありました。彼らに働く場を提供できたことで、少しでも彼らをサポートできているのだと思うととても嬉しい気持ちになります。子どもたちだけでなく、さまざまな人の人生にポジティブな影響を与えられることはこの仕事の大きなやりがいです。

__最後に、大崎×五反田LINKの読者にメッセージをお願いします。

守安さん:ぜひ、目の前の人を深く知るためのコミュニケーションを心がけてください。私たちの人生は一度きりですが、他の人の気持ちや考えに触れることで、自分の世界が大きく広がります。コミュニケーションスキルを身につけることで、他者を理解し、より豊かな人間関係を築くことができます。
また、日本語だけでなく英語を話すことができれば、コミュニケーションの選択肢や可能性が広がります。完璧でなくても構わないので、自分ができることを発揮して人と向き合ってみてください。多様な人々とつながる力が、周囲や社会に良い影響を与え、誰かの人生を救うことさえできると信じています。
年齢に関係なく、コミュニケーションスキルを磨くことは大切です。さまざまな人生に触れ、違いを受け入れ、理解を深めることで、きっと新しい発見があるはずです。自分の可能性を広げ、他者とのつながりを大切に、楽しんでください。

「Savvy After School」Facebookより


(古郡 優)

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