品川区立第三日野小学校に通う子どもたちの父親が2006年に結成した「品川区立第三日野小学校 おやじの会」。学校行事への参加や主催イベントを通じ、父親たちが楽しみながらさりげなく子どもたちに奉仕することを目的としたボランティア団体です。今回は、「おやじの会」の活動内容や活動に対する思いを7代目会長の山田純さん(写真右)と5代目会長の丸山幸次郎さん(写真左)にお伺いしました。
子ども向けのオリジナルイベントから、先生方との懇親イベントまで企画・実行
_お二人の五反田地域との関わりや、地域の魅力について教えてください。
丸山さん(以下、丸山):もともと実家が近くで、18歳のころから五反田に住んでいます。五反田は平日と休日で異なった街の雰囲気になりますよね。どこからでもアクセスが良いですし、とても気に入っています。
山田さん(以下、山田):私は以前海外で仕事をしており、日本へ戻ってくる際に五反田を選びました。色々と基準はあったのですが、良い小学校がある地域にしようと思ったのが1番の理由です。第三日野小学校の周辺は住みやすい住宅街で、落ち着いている雰囲気があります。
_「おやじの会」の活動について教えてください。
山田:「おやじの会」は独自イベントの企画・運営や、学校行事の支援を行っています。お子さんが小学校を卒業しても、「おやじの会」に卒業はありません。OBとして引き続き在籍します。OBを含めるとメンバーは100人近く、全員で何かするというよりも、イベントによってその都度参加できる人が関わっています。月に1回定例ミーティングを行い、イベントの打ち合わせを行います。
活動内容(一部) ★は「おやじの会」オリジナルイベント
★学校内きもだめし大会
★親子で飛ばそう!シャボン玉イベント
★水鉄砲イベント
★親子うどん作り体験会
★キャンプ
・運動会支援
・三日野区民まつり支援
・先生との懇親ソフトボール大会、サッカー大会
・目黒さんま祭り
丸山:子ども対象のイベントだけでなく、先生方とのスポーツ大会も実施しています。私が「おやじの会」の現役メンバーだったころから、当時の先生方と積極的に交流するようになりました。今でもこうして良い関係性を継続できているのは嬉しいです。
山田:親からすると、普段子どもたちと接している先生を知ることができるのは安心します。先生方からしても、生徒の親がどんな人物か知り、バックグラウンドについて理解できた方が良いと思うので、お互いにとって良い交流だと感じます。
_ありがとうございます。学校関係以外の地域の方との交流もあるのでしょうか。
山田:区民まつりでの交流が多いですね。地域主催のイベントなので、地域の中でも様々な方が参加しています。
丸山:「おやじの会」のメンバーは町会の運営に関わっている人も多いため、地域主催のイベントでも協力し合える体制があります。
山田:このように学校や地域での活動を行う中で、2010年には品川区から感謝状をいただき、2016年には東京都教育委員会から感謝状(地域における児童生徒の育成活動部門)をいただきました。
父親が楽しく活動している様子を、子どもたちに見てもらいたい
_お二人が最も印象に残っている「おやじの会」のイベントは何ですか?
丸山:昔、体育館の後ろが空き地で雑草が沢山生えていたのを、校長先生から相談されて、4代目会長を中心に野菜畑を作ったことがありました。子どもたちと一緒に野菜を育て、収穫し、カレーを作ったことは良い思い出です。
山田:私は、目黒のさんま祭りに焼き手として参加したことです。朝からずっと焼き続けたので服がすごい臭いになって(笑)。終わってから皆で銭湯に行って、最後にさんまを食べました。大変でしたが、なかなか体験できない面白いイベントでした。
_お子さんはもちろん、大人たちも楽しいイベントがあるんですね。
山田:特に父親が学校の活動に関わるケースは少ないと思うのですが、大人たちが楽しみながら活動している姿、普段とは違う姿を子どもに見せられるのは教育的にも良いのではないかと感じています。
丸山:「おやじの会」には個性豊かなメンバーが揃っているので、私の娘達はそういう人間関係を見て楽しんでいたようです。特に僕が入会したころは少人数でローカルな会だったのですが、活動が長くなるにつれて徐々に職業も様々なバラエティに富んだメンバーになっていったんです。その経緯を娘達は見ているので、「最近、おやじの会のカラーが変わってきたね!」なんて言われます(笑)
義務もマニュアルも無し!”楽しいこと”大切にする「おやじの会」
_「おやじの会」を運営する上で大切にしていることは何ですか?
丸山:楽しむことが1番だと思っています。活動が長くなってくると、マニュアルやルールを作りがちですが、あえてそういうことはせずに、その代の「おやじの会」のメンバーが子どもたちを楽しませるために試行錯誤しながら進めていくのが楽しいんじゃないかなと。
僕がOBになっても活動に参加しているのは、「おやじの会」の活動が楽しいからです。「おやじの会」はビジネスではないので、利害関係のない付き合いができます。僕自身も子ども時代に戻れるというか、素の自分を出せる場なのだと思います。
山田:数を追わない&効率を追わないことを大切にしています。ついメンバーを集めたくなってしまうのですが、人数が増えすぎても関係性が薄くなってしまうし、規模が大きくなると、先ほど丸山さんがおっしゃったようにマニュアル的な効率性を求めてしまいがちになります。もちろん人数が増えるのは嬉しいですし、人数が多くないと実現できないこともあるので、そこのバランスには気を付けています。
_最後に、今後のお二人がやりたいことや目標について教えてください。
丸山:「おやじの会」のOBは、元気が有り余っているというか、力を持て余している感じがするんですよ。「おやじの会」でもOBが参加できるイベントは沢山あるのですが、OBの立場だと遠慮してしまう方も多いんです。そういう方々にも手が届きやすいような場作りをしたいです。
山田:丸山さんがおっしゃったように、「おやじの会」以外にも、繋がりができる場を設けたいと考えています。「おやじの会」に関係なく、地域の元気なおやじ達が気軽に参加できるような感じです。小学生のお子さんを持つおやじ達は「おやじの会」で地域との繋がりを作り、お子さんが小学校を卒業して「おやじの会」のOBとなった方々のコミュニティですね。おやじ達が楽しめる場や機会をもっと増やしたいと思います。
(古郡優)