2018年9月に設立された「特定非営利活動法人そとぼーよ」。子どもがのびのび外遊びできる環境づくりを通して、自然と触れ合いながら、たくさんの人の愛に囲まれて育つ社会を目指しています。今回は、代表理事の本道良子さんに活動内容や今後の展望についてお話を伺いました。
そとぼーよの活動について教えてください。
本道さん:1つ目は、品川区の委託事業である「こども冒険ひろば」の運営です。プレイワーカー(あそび場のスタッフ)が、子どもの主体性を大切にしながら,子どもたちの「やってみたい」を応援しています。荏原・大崎地区の公園で毎月1回開催する「あそびの出前」は、地域の公園に遊び道具と遊びゴコロを持参し、日常の中に、わくわくするあそびのきっかけを散りばめます。
2つ目は、私たちの自主事業です。「みんなでつくる親子ひろば」は、毎月2回、文庫の森公園で乳幼児親子の初めての外遊びをサポートしています。「おさんぽそとぼ〜よ!」では、大崎や八潮の街を散歩し、遠足気分で自然を感じることができます。なんてことないいつもの風景も、子どもの目線になると楽しい発見に溢れているんです。
外遊びを通じ、子どもは「自然」と触れ合い、地域のさまざまな「人」と関わる機会を得ることができます。好奇心を育て、人との信頼関係を築くことは、成長に欠かせない大切な要素だと考えています。

本道さんが活動をはじめたきっかけを教えてください。
本道さん:今はこのように活動している私ですが、子どもが生まれる前までは、地域について意識したことはなく、近くに友人もいませんでした。子育てを始めて児童センターに通うようになり、親同士のつながりが生まれました。そんな中で訪れた「北浜こども冒険ひろば」に衝撃を受けました。子どもたちが元気いっぱいに遊び、誰が誰の親かも関係なく、大人も含めたみんなが楽しそうにしていたんです。子育てのプレッシャーを感じていた私は「もっと自由にのびのびしてもいいんだ」と安心し、こんな環境で子育てがしたいと思いました。
子どもをありのままを尊重して育てるためには、まず自分自身がありのままでいられる場所が必要だと気づき、同じ思いを持つ地域の保護者と一緒に、そとぼーよの前身でもある「品川区にプレーパークをつくる会」を任意団体として立ち上げました。
活動する上で大切にしていることを教えてください。
本道さん:そとぼーよの運営方針「みんなでつくる」を大切にし、参加者の皆さんが、少しでも主体的に関われるように心掛けています。参加者の方に、出来上がった環境を提供することだけが正解ではありません。足りない部分からアイデアが生まれることもあるので、そのような機会を一緒に作っていけたらと思います。例えば、準備や片づけを手伝う、新しい参加者を迎え入れる、イベントの名前を一緒に考える、廃材を寄付してもらう、遊び道具を作るなど、得意なことや無理せずできることを少しずつ分担して続けていくのが理想です。また、子どもたちへ“やさしいまなざし”を向けてくださるだけでも、「みんなでつくる」のひとつの形だと思っています。
活動においては、スタッフ自身も参加者も無理をせず、ありのままでいられる居場所にすることを心がけています。私たちの活動において、「正しいかどうか」はそれほど重要ではありません。方法に正解はありませんし、正義感だけで突き進むと優しい社会にはならないと思うからです。外遊びが苦手な親子もいるので、選択肢のひとつとして外遊びの環境やきっかけを提供できればいいなと思っています。
子どもたちがありのまま、のびのびと成長できる社会を作りたい思いはありますが、焦らず、ゆっくり丁寧に進めることを意識しています。急いでしまうと人の気持ちの部分が置いてけぼりになることが多いからです。社会全体も大切ですが、まずは隣の人が楽しめているかどうかを忘れないようにしています。
参加した方からはどのようなお声をいただいていますか?
本道さん:保護者の方から「子育てが楽になった」「ここで過ごした時間が子育ての指針になった」と言っていただいたことは嬉しかったですね。子どもからは「違う学校の友達ができた!」「いろんなチャレンジができる」などと言ってもらえることが多いですね。
初めてきた親子でも、子どもはいつのまにか楽しそうに遊び始めます。最初は緊張していた保護者の方も、子どもの笑顔を見て安心し、一緒に笑顔になっていく姿が印象的です。親子にとって楽しい場所でありたいと思います。また、保護者同士のつながりが生まれることも多く、交流の場としても活用していただければと思います。
何より私自身も、子どものいきいきした姿を見るたびに大きなエネルギーをもらっています。子どもの生命力からもらえるパワーは本当にすごいですよね。


本道さんが目指すそとぼーよの未来の姿について教えてください。
本道さん:運営する私たちも、参加してくれる親子や子どもたちも、皆が楽しくいられること!それが一番の目標です。子どもがいない方や子育てを終えた方も、気軽に参加でき地域のつながりが生まれる場になればと思います。
子どもたちがのびのび遊べる環境が広がるためには、地域の方々の理解と協力が不可欠です。各地域に根差した活動になるよう、丁寧に関係を築いていきたいです。
個人としても、大人も子どももありのままでいられる社会を作りたいと考えています。そとぼーよの活動を通じて、そのような社会に少しでも近づけることを願っています。
最後に、大崎×五反田 LINK の読者にメッセージをお願いします。
本道さん:お近くの遊び場にぜひお気軽にご参加ください!一緒に遊びましょう!
(古郡 優)


