建設の背景
目黒川は世田谷区内を源流として、目黒区、品川区を流れて東京湾に注ぐ全長8kmの2級河川です。その沿線は都市化が進むにつれて、降った雨が急激に川に流出しやすくなり、なかでも五反田地区は特に地盤が低いこともあってこれまでたびたび浸水被害が発生していました。
特に平成元年の水害では旧荏原市場付近からJR五反田駅までの47haの広範な地域に大きな被害が出ました。こうした被害を防ぐために、川を管理する東京都が10年余をかけて旧荏原市場跡に作った施設が荏原調節池です。
壮大な規模
平成14年に完成したこの施設は、水位の上がった川から、雨水を①取水し、②一時貯水し、③川に戻す、ための巨大な地下4層(深さ30.5m)の巨大な箱型調節池です。その能力は1時間当たり50mmの雨水に対応するため、25メートルプール約670杯分(20万トン)の貯水が可能となっているそうです。

縁の下の力持ち
調節池完成後も幾度となく五反田地区は台風や集中豪雨に遭遇していますが、幸いにもこの調節池は期待通りの機能を発揮していて、五反田地区への目黒川浸水被害は見られていないそうです。そのうえ将来の更なる異常気象に備えて貯水能力アップも検討されているようです。機会が有ればご覧になられたら如何でしょうか。
(編集長 久保田)